1 人口と高齢者の割合
日本の総人口は,戦後に増え高度経済成長を支えてきましたが,2010年をピークに下がり始めており,現在の人口は約1億2600万人ですが,2060年には約8,000万から9,000万人になると予測されています。
しかし高齢者(65歳以上)の人口はそれ以降も増え続け,総務省統計局のデータによれば,第2次世界大戦終戦直後は人口の5%程度であった高齢者の割合が,2035年頃には30%を超え,2060年には約40%を占めるようになりました。
日本の社会は,他国とは比較にならないほど急速に少子高齢化が進み,近い将来,団塊の世代の多くが介護を必要とする状況になることが予想されます。
2 家族形態
20世紀初めのように,1つの家族に子どもが多数いるという時代には,親の老後の世話や亡くなった後の手続きや遺品整理等を分担して行うことができました。しかし,現代のようにひとりっ子が珍しくなかったり,お一人様やDINKS※ も増加している時代には,子どもへ大きな負担はかけられないとお考えになる方も多くなっています。
(※DINKS・・・Double Income No Kidsの略で,共働きで子どもを作らない,持たない夫婦。)
3 平均寿命,健康寿命
先日7月30日,厚生労働省から「平成30年簡易生命表」が公表されました。男性の平均寿命は81.25年,女性は87.32年となり,いずれも過去最高を更新しています。
厚生労働省HPよりhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/index.html
平均寿命と健康寿命の差は,日常生活に制限のある「不健康な期間」を意味しますが,この差が拡大すれば,医療費や介護費を消費する期間が増大し財政を圧迫することになります。そのため,病気の予防と健康維持によって,この差をいかに小さくしていくかが重要です。
4 最後に
社会現象というまでに“終活”が広がっている背景には,これらの要因が挙げられます。そして,“終活”は大きく分けて,医療・介護・保険・相続・葬儀・お墓と多種様々で非常に複雑です。
次回以降はこれらを順に取り上げますので,皆さまの終活 = 将来準備に少しでもお役立ていただければ幸いです。もちろんご相談お問合せもお受けいたします。
執筆者:相続アドバイザー(上級)/黒田文