ご相談やご依頼で多いケースですが、相続人のうちの一人(A)が、被相続人を生前に囲い込み、被相続人の財産を独り占めにしようとしたのではないかとの疑いがある事案です。
被相続人の死後に、他の相続人(B)が相談・依頼に来られます。
被相続人の痴呆気味な状態を利用して被相続人の財産をかってに費消したのではないか、あるいは、かってに自らのものとしたのではないか、との疑いです。もしそうなら、窃盗罪、詐欺罪、横領罪などが成立するおそれもあります。
こうした場合の一人の相続人(A)の言い分は、被相続人の意思は正常で何の問題もない、費消した金額は被相続人のために使ったものであり、自分がとったわけではない。あるいは、正常な被相続人の意思のもとでの生前贈与に過ぎない、などです。
Bの方針としては、①Aに対する不当利得返還請求や②Aへの生前贈与を特別受益として持ち戻し遺産分割協議に反映させることです。
これらの方針を実現するためには、Aが認めていない事実について、Bは証拠を集め、それにより立証する必要があります。通常は、被相続人の金融機関での取引経過を取り寄せ、不審なお金の動きはないか、被相続人の通常の生活費はどのくらいだったのかなど、分析します。場合によっては、弁護士照会(弁護士法23条の2)によりAの金融機関取引経過を取り寄せることもあります。
ここでは法律の知識だけでは足りず、事案の分析力、捜査能力的な才能も求められます。考える力のある弁護士に相談・依頼されることをお勧めします。当事務所には幾多の成功実績があります。
執筆者:代表弁護士/山下江