1 親や身内が亡くなったときの手続き・するべきこと
親や身内が死亡した...
悲しくて心が落ち込んでいても死後の手続きは待ってくれません。
そこで,親や身内が死亡した際に,相続人が行うべきことについて説明をしたいと思います。
死亡後に期限内に行うべきことには以下のようなものがあります。
●7日以内にすること
・死亡診断書・死亡届の提出
・火葬許可申請書の提出
●14日以内にすべきこと
・年金受給停止手続
・健康保険等の資格喪失手続き
・葬祭費、埋葬料の請求
・介護保険の資格喪失手続
・世帯主の変更届
●3か月以内にすべきこと
・相続放棄、限定承認
●4か月以内にすべきこと
・準確定申告(被相続人の所得税の申告・納付)
●10か月以内にすべきこと
・相続税の申告、納付
●1年以内にやるべきこと
・遺留分侵害額の請求
2 弁護士の視点から気をつけてもらいたいこと
(1)相続放棄・限定承認
相続放棄とは親など被相続人の権利や義務を一切受継がないというものです。相続放棄をすれば借金は相続されないので支払う必要はありません。相続放棄は,「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内」に行う必要があります。この期間を過ぎてしまうと相続放棄をすることができなくなります。
父親に少しの負債があったことは知っていたが「大丈夫だろう!」と思い,父親の死亡後に何もせず放置をしていたら,3000万円の請求が来たということもあります。
親が自営業であった,親が連帯保証人になったと聞いたことがあるなどの事情があるときは,必ず早期に弁護士に相談をしてください。
(2)相続税の申告
相続税がかかる人は,相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に,管轄の税務署に相続税の申告と納税を済ませなければいけません。遅れると延滞税や無申告加算税等のペナルティがありますので注意です。
もっとも,相続税の申告の必要がある方は全体の1割にも満たないと言われています。自身に相続税の申告の必要性があるのか,専門家に問い合わせてみるべきでしょう。
(3)遺留分侵害額請求
被相続人は,自分の財産を誰にどのように引き継がせるかを自分で決めることができます。しかし,相続人には法定相続分があり,一定の範囲で遺産を相続できると期待しています。そこで,兄弟姉妹以外の相続人について,その生活保障を図るなどの観点から,最低限の取り分を確保する制度として,遺留分制度が存在しています。
遺留分の請求ができるのは,「相続開始と遺留分を侵害する遺言・贈与を知ってから1年間」です。被相続人が死亡して不公平な遺言書があることを知ったら、その後1年以内に「遺留分侵害額請求」をしないと権利が時効消滅してしまい、遺留分侵害額を払ってもらえなくなります。
3 最後に
親や身内が亡くなった後,やるべきことはたくさんあります。そして,知らなかったばかりに取り返しのつかないことになることもあります。
自身の相続について考えている方は,生前対策として事前に弁護士に相談をしておくことをお勧めします。また,すでに親や身内が亡くなった方は,早めに弁護士に相談をしましょう。
執筆者:東京支部長/岡 篤志